「痩せるツボってどこ?」「ストレスに効くツボありますか?」
そんな質問、日常的によくいただきます。中には「北斗の拳みたいに一撃で絶命させるツボって実在するんですか?」なんて、冗談混じりに聞かれることもあります。
では、そもそも“ツボ”とは何なのでしょうか?
東洋医学の世界で「ツボ」と呼ばれているものの正式名称は、経穴(けいけつ)といいます。
世界保健機関(WHO)により認定されているだけでも、なんと361ヶ所。思わず「そんなにあるの!?」と驚かれるかもしれません。
それらの経穴は、単独で存在しているわけではなく、「経絡(けいらく)」という身体の中をめぐる“流れ”の中に属しています。
この経絡、ざっくり言えば体のエネルギーや情報の通り道のようなもので、経穴はその経絡上に存在するポイントなのです。
少し例え話をしてみましょう。
「経絡=電車の路線」「経穴=その沿線にある駅」とイメージしてみてください。
たとえば、西千葉駅は総武線だけに所属していますが、本千葉駅は外房線と内房線という二つの路線に属しています。
そして新宿駅のように、いくつもの路線が交差する駅は、アクセスが良くて人の流れも多く、いろんな場所とつながっていますよね。
ツボ(経穴)も同じように、複数の経絡に関わっているものほど、広い効果を持つ可能性があるんです。
面白いのは、これらのツボの多くが、西洋医学でいう「トリガーポイント」や「モーターポイント」と一致していること。つまり、鍼灸の経穴という概念は、長い歴史の中で培われた経験的な知識でありながら、現代の医学的視点でもうなずけるものが少なくないのです。もちろん、現代の医学ではまだまだ説明のつかない効果を持つ経穴もたくさん存在しています。
さらに、名前が付いていないけれど「押すとなんだか気持ちいい」「じんわり楽になる」ポイントってありますよね?
それも立派なツボの一種。こうした場所は「阿是穴(あぜけつ)」と呼ばれています。
語源には諸説ありますが、「あぁ(阿)」という感嘆詞と、「そこ(是)」という中国語が由来だという説が有名です。
まさに、体が教えてくれるツボですね。これもまた、トリガーポイントや圧痛点と非常に似た概念です。
結論、ツボ(経穴)とは、
- 症状が現れる反応点
- 診断のために使える診断点
- 治療にも使える治療点
以上、三つの作用を持ったものなんです。
興味が湧いた方は、ぜひ一度、神明鍼灸治療院へ足を運んでみてください。
筆者:佐久間 渓矢