「赤くなって」「熱っぽくて」「腫れて」「触ると痛い」「動かしづらい」
炎症と聞くとネガティブなイメージがありますよね。でも実はこの炎症、体が自分を守ろうとする働きだってご存知でしょうか?
炎症の5つの特長
炎症には、代表的な5つの特長があります。
- 発赤(はっせき):赤くなる
- 発熱:熱をもつ
- 腫脹(しゅちょう):腫れる
- 疼痛(とうつう):痛みがある
- 機能障害:動かせない、使いづらい
これらはまとめて「炎症の五徴候」と呼ばれます。
炎症は大切な反応
この5つの徴候、実はすべてに理由があります。
- 赤くなったり、熱をもつのは「血流が集まっている証拠」
- 腫れるのは、免疫細胞や修復物質が集まっているから
- 痛みや動かしにくさは、「動かしちゃダメだよ」という体からの信号
つまり、炎症とは「異常」ではなく「修復のための反応」。
体がちゃんと治そうと努力している証拠なんですね。
冷やす?or温める?
炎症に直面したとき、よくある疑問が「冷やすべき?or温めるべき?」現代の医学では、
- 急性期(受傷〜2〜3日):冷やす
→ 血流や炎症の広がりを抑えるため。 - 慢性期(数日〜数週間以降):温める
→ 血流を促進し、修復と回復を促す。
が正しい対応だと考えられています。タイミングを間違えると逆効果になることもあるので、ここはとても大事ですね。
鍼灸の持つ「炎症」への効果
鍼灸でも、炎症に対してアプローチすることができます。
また、急性期と慢性期でアプローチする方法が変わります。
- 急性期 → 瀉法(しゃほう):熱や腫れを“抜く”イメージ
- 慢性期 → 補法(ほほう):血流や栄養を“補う”アプローチ
イメージというのがなんとも曖昧な感じですが、現代医学の研究でも、鍼刺激には内因性オピオイド(天然の鎮痛物質)の分泌を促す働きがありことがわかっています。
さらに、2002年、アメリカの免疫学者ケヴィン・トレーシー(Kevin J Tracey)氏が発表した研究で、「合谷(ごうこく)」というツボや、耳の迷走神経に刺激を与えると
- 脳幹→迷走神経→脾臓という経路を通じて
- ノルアドレナリン増加 → T細胞が反応 → アセチルコリン産生
- その結果、炎症性サイトカイン(TNF-αなど)の産生が低下する
つまり、鍼灸刺激が炎症を抑える神経性のルートの存在を科学的に証明しました。
体の自然な反応を活かす
「炎症=悪いもの」と思いがちですが、
「炎症=体のSOS」です。
鍼灸には、そんな自然治癒力を支えたり、
負担を軽減したりする大きな可能性があります。
もし炎症にまつわる痛みや不調でお悩みでしたら、
ぜひ神明鍼灸治療院までお気軽にご相談ください。
筆者:佐久間 渓矢