本格的に寒くなる前におすすめの養生法

はじめに

猛暑を乗り越え、やっと涼しくなってきました。
近年ではこの快適さもほんの一瞬で終わり迎え、厳しい寒さが訪れることは想像にたやすく、いまや日本の美しい四季は、二季になりつつあります。そんな激しい温度変化に体が追いつかず、体調を崩す方も少なくありません。
東洋医学では、このような季節の変わり目に「冬に備える準備」を始めることが大切とされています。
その考え方のひとつに 「蔵精(ぞうせい)」 があります。

蔵精とは?

「蔵精」とは、文字通り 精(生命活動の源)を蓄えること を意味します。
この「精」とは、西洋医学でいう栄養素やホルモン、体力などに近いイメージで、簡単にいえば スタミナ(stamina)のようなもの です。

東洋医学では、この精は に蓄えられると考えられています。
ここでいう腎は、西洋医学的な腎臓そのものではなく、「遺伝・成長・発育・生殖・水分代謝・老化」など、生命活動の基盤を司る広い概念をになっている、東洋医学の整体観に基づいたものになります。

季節に応じた臓

東洋医学では、五臓(肝、心、脾、肺、腎)それぞれに対応する季節があります。

  • 春 → 肝
  • 夏 → 心
  • 長夏(梅雨)→ 脾
  • 秋 → 肺
  • 冬 → 腎

つまり、 冬は腎の働きがもっとも大切になる季節 です。
そしてその腎(水)を支えるのが、相生関係にある 肺(金)
つまり、今の季節(秋)に肺を整えることが、冬の腎を守る準備につながります。

肺に良いことをしよう

では、肺を元気にするにはどうしたら良いのでしょうか?
肺は「呼吸」「気の巡り」「免疫」と関わりが深く、乾燥に弱い臓です。

  • 白い食材(大根、れんこん、白きくらげ など)を食べる
  • 適度な有酸素運動で呼吸を深くする
  • 加湿や温かい飲み物で乾燥から守る
  • ストレスや過労を避け、深い呼吸を意識する

こうした養生を秋に行うことで、冬に負けない体づくりができます。

また、風邪を始めとした呼吸器系の疾患は、乾燥する時期に悪化しやすいので、東洋医学と関係なく、秋は肺にいいことしたいですよね。

最後に

たまにはこういう東洋医学の話もしないと、東洋医学を学ぶ者としてもったいないと思い、今日はちょっと東洋医学チックなトピックを書いてみました。神明鍼灸治療院では、整形外科的な疾患だけでなく、季節に応じた養生や、不定愁訴(なんとなく調子が悪い、疲れが抜けない など)にも対応しております。

ぜひお気軽にご相談ください。

筆者:神明鍼灸治療院

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