「冷え」は身体の不調を引き起こす原因になると東洋医学では考えられています。では、本格的な寒さが近づいてきている今だけの問題かといえば、「冷え」は決して冬だけでなく、夏でもあなたの不調の元になりえます。
では、そもそも「冷え」とは何でしょうか?ここでは東洋医学と西洋医学、それぞれの視点から解説します。
◼︎東洋医学における「冷え」
東洋医学では、「冷え」は 体内のエネルギー(気血)の巡りが悪くなる状態 を指します。
巡りが良い状態を表す際に用いるのが、
- 頭寒足熱(ずかんそくねつ)
文字通り「頭は涼しく(寒)、足は温かい(熱)」状態で、一番理想的な状態を表します。
そんな頭寒足熱に対して用いるのが、
- 上実下虚(じょうじつかきょ)
上半身に余分な熱・エネルギーがあり、下半身がエネルギー不足の状態です。
頭はのぼせている感じがあるのに、足が冷えているいわゆる「冷えのぼせ」の状態です。
季節的な寒さだけではなく、自律神経の乱れやストレスでも起こりやすいです。
つまり、東洋医学的な冷えの状態とは、季節や気温のみに依存せず、身体のバランスが崩れてしまうことで生まれると考えます。
◼︎西洋医学における「冷え」
西洋医学では、自覚症状としての「冷え」と、体温や末梢血流など客観的に計測可能な「冷え」の、2つの側面から考えることができます。
ここでは後者、すなわち客観的な冷えがもたらす生理的変化について、西洋医学的な観点から整理します。
1. 血行不良
血液は体内で熱を運ぶ重要な役割を担っています。血流が滞ると、身体の末端まで十分な温かい血液が行き渡らず、四肢の冷えを感じやすくなります。
2. 自律神経機能の低下
血管の拡張・収縮は自律神経によって制御されています。ストレスや不規則な生活などにより自律神経のバランスが崩れると、血流調整がうまくいかず、冷えやすい状態になります。
3. 筋肉量の低下
筋肉は血液を全身に送り出す“ポンプ”としての働きを持っています。加齢や運動不足により筋肉量が減少すると、末梢循環が悪化し、冷えを助長します。
4. 免疫機能の低下
白血球などの免疫細胞は血液を介して全身を巡ります。血流が滞ると免疫細胞の働きが鈍くなり、感染症や体調不良のリスクが高まります。
このように、西洋医学では「冷え」を単なる体温の低下ではなく、血流や代謝が十分に機能していない状態=身体の機能不全としてとらえます。
したがって、「冷え」は多くの不定愁訴や慢性症状の背景因子としても注目されています。
◼︎東洋医学と西洋医学の共通点
どちらの医学でも、「冷え」を単なる体温低下ではなく、身体を支える大切な機能が弱っているサインとして捉えているのです。
冷えは放っておくと肩こり・腰痛・婦人科症状・不眠・胃腸の不調など多くの様々な症状を引き起こします。
◼︎今日から始める冷え対策
冷えは日常の工夫で改善できます。
- 足元を冷やさない
- 湯船に浸かる習慣
- 温かい食事や飲み物
- 適度な運動で筋肉量を維持
- ストレス対策
そして、鍼灸は冷えへの根本的なアプローチとして非常に効果的 です。
- 軸索反射により局所の血流改善
- 筋膜の滑走性を改善することで、体を動かしやすくなる
- 気血の巡りを整える
- 自律神経の調整
- 深部から温める効果
今ある冷えに対して、また冷えやすい体質そのものの改善が期待できます。
最後に
「冷え」は見過ごされがちですが、ご自身の健康を守るための大切なサインです。冷えが気にある方は、ぜひ 神明鍼灸治療院 までご相談ください。
筆者:神明鍼灸治療院