人体には約260もの関節があると言われています。その中でも肩関節は群を抜いて「いちばん動ける関節」です。腕を上げる、後ろに引く、回す…そのすべてが、肩関節の豊かな可動性によって可能になっているんです。
諸刃の剣
そんな可動域の広さは、とても繊細で複雑な連携の上に成り立っています。
したがって、1箇所でもその連携が乱れると、たちまち痛みや不調として現れてしまうのです。
肩関節は、股関節と同じ「球関節」に分類されます。しかし構造を比べると大きな違いがあります。
- 股関節:骨盤が大腿骨の骨頭(先端)を深くしっかり包み込んでいる → 安定性が高い
- 肩関節:肩甲骨の関節面(関節窩)は浅く、上腕骨の骨頭が大きすぎてしっかり包み込めない → 可動域は広いが、不安定
この不安定さが原因で、肩関節の脱臼は、全身の脱臼の約50%を占めるとも言われています。
「チームワーク」
じゃあ、そんな不安定な肩関節は、筋肉や靭帯たちの巧みなチームワークによって支えられています。
特に重要なのが「ローテーターカフ(回旋筋腱板)」と呼ばれる4つの筋肉たち。
- 棘上筋(きょくじょうきん)
- 棘下筋(きょっかきん)
- 小円筋(しょうえんきん)
- 肩甲下筋(けんこうかきん)
この4つの筋肉が連携して、肩の骨を適切な位置に引き寄せてくれるんです。
さらに、肩を包むように位置する三角筋や、体幹の筋肉までもが肩の動きに関与しています。
つまり、肩は「肩だけ」で動いているわけではないということなんです。
肩が痛むのはなぜ?
そんな連携プレーが求められる肩関節は、姿勢不良、疲労の蓄積、転倒や打撲、スポーツの繰り返し動作、ストレスなど…さまざまなきっかけ(受傷転機)で痛みが出てしまいます。
完全に痛めずに生きていくことは難しいかもしれません。でも、痛みを抱えたまま生活の質(QOL)を下げてしまうのは、とてももったいないことです。
鍼灸で出来ること
そんな繊細で複雑な肩関節に対して、鍼灸は非常に相性の良い治療法として期待できます。
- 硬くなった筋肉を緩める
- 血流を促進して痛みを和らげる
- 神経にアプローチして炎症や緊張を抑える
これらの作用によって、肩の不調や痛みの緩和が期待できます。
肩の症状でお悩みの方は、ぜひ一度神明鍼灸治療院にご相談ください。
筆者:佐久間 渓矢