本日は、以前勤めていた職場で開催された勉強会
「ファッシアを意識した鍼と触察の基本」に参加してきました。
ファッシア(筋膜)って何?
「ファッシア」という言葉は、あまり馴染みがないかもしれませんが、「筋膜」という言葉なら聞いたことがある方もと思います。最近では「筋膜リリース」という言葉で広く知られるようになりました。
筋膜とは、主にコラーゲン質からできた結合組織の膜のことで、筋肉や内臓を包み込むようにして存在し、それぞれの組織を結びつけ、安定させる役割を果たしています。
なぜファッシア(筋膜)に注目するのか?
ファッシアの重要性を理解するためには、まず私たちの体表を「層」で考える必要があります。
人体表面は、
- 表皮
- 皮下組織(浅筋膜・ファッシア)
- 筋肉
- 骨
という順番で層をなしています。
私たちは体の痛みや柔軟性について考えるとき、つい「筋肉」ばかりに注目しがちです。しかし実際には、筋肉を支えるファッシア(筋膜)の癒着による滑走不全や膠原繊維の異常増加(架橋)、さらに微細な血流障害が、肩こり・腰痛・膝痛など、さまざまな不調の原因になっていることがわかってきました。
そのため、今回は筋肉より上層にあるファッシア(筋膜)を意識した触察がテーマとなったのです。
ファッシアをどう触るのか?
さて、実際にファッシアをどのように触察するのでしょうか。
筋膜の平均的な厚さは2mm〜10mmほど。
これを、わずか0.2mm程度の表皮と2mmほどの真皮が覆っています。
つまり、触れるときには全体でも約10mm程度の非常に薄い層を感じ取らなければなりません。
筋膜を探るには、皮膚表面を揺らすように繊細に触察することが大切です。
力任せに押すのではなく、極めて繊細な感覚で皮膚から深層の組織を感じ取る必要があるため、非常に高度な技術が求められます。
また、筋膜は何層にも重なり合い、走行方向も複雑です。
そのため、解剖学的な理解が不可欠であり、改めて基礎知識の大切さを実感しました。
筋膜と東洋医学のつながり
さらに興味深いことに、筋膜の走行は、東洋医学でいう経絡(ツボの通り道)との相関も指摘されています。
経験医学として蓄積されてきた鍼灸の知識と、現代医学的な筋膜の理解が、うまく重なり合う部分があるのです。
今回の勉強会は、そんな伝統と科学が交差するとても刺激的なテーマでした。
機会があれば、ぜひまた参加したいと思っています。
筆者:佐久間 渓矢