前回は「気象病」についてご紹介しましたが、今回はその中でも春に特有の気象病についてお話ししたいと思います。まだ前回の記事をお読みでない方は、ぜひ以下のリンクからご覧ください。
気象病についてPart1
春とはどんな季節?
気象庁によると、春は「3月から5月までの期間」と定義されています。冬から夏へと向かうこの季節は、寒暖差や気圧の変化が大きく、風や雨の影響も受けやすい時期です。自然界では植物が芽吹き、動物たちも活発に動き出すなど、まさに「変化」の季節とも言えます。
こうした環境の大きな変化は、私たちの身体にも少なからず影響を与えます。とくに春は、気象病の症状が出やすくなる季節でもあります。
東洋医学から見た「春」の影響
東洋医学には、自然界のすべてを「木・火・土・金・水」の五つに分類する「五行学説」という考え方があります。春はその中で「木」に属し、「肝(かん)」という臓に深い関係があるとされています。
ここでいう「肝」は、単に肝臓としての働きにとどまらず、
・気や血の流れの調整
・情緒の安定
・血液の貯蔵と分配
など、多くの機能を担っていると考えられています。
春の気候変化は、この「肝」の働きに負担をかけ、心身の不調を引き起こすことがあるのです。たとえば次のような症状が出ることがあります。
精神的な症状
イライラしやすい、怒りっぽい、不眠、不安感、気分の落ち込み、めまい など
身体的な症状
肩こり、首こり、腰痛、手足のしびれ、目の疲れ、月経不順、皮膚の乾燥 など
その他の影響
ストレスの蓄積、自律神経の乱れ、倦怠感など
現代医学的な視点では?
春は生活の中でも変化の多い季節です。進学や就職、引っ越し、人との別れや出会いなど、精神的に大きな負担がかかる時期でもあります。こうした心理的なストレスや緊張が、自律神経に影響を及ぼし、さまざまな身体の不調として現れることは、現代医学的にも十分に説明が可能です。
また、寒暖差によって体温調節がうまくいかなかったり、気圧の変化が体内の水分バランスや血流に影響を与えたりすることも、症状の一因と考えられています。
さいごに
春は気候や生活、感情の環境の変化が多い季節です。鍼灸治療では、そうした数値では表せない「変化」も、患者さんの症状の原因のひとつとして考慮しております。
気になる症状がある方、季節の変わり目に弱いと感じる方は、ぜひ神明鍼灸治療院に相談ください。
参考
筆者:佐久間 渓矢