気象病について Part3 〜梅雨〜

梅雨は高温多湿の気候が続き、心身に不調をきたす方が増える時期です。春から夏への気象の変化に体がついていかず、頭痛・倦怠感・関節痛・消化不良・気分の落ち込みなど、さまざまな症状を訴える人が多くなります。こうした季節特有の不調に対して、東洋医学と西洋医学の視点から健康対策を見ていきましょう。


東洋医学的視点

「湿邪(しつじゃ)」の影響に注目

東洋医学では気象現象を「風・熱・湿・燥・寒」として5つに分類します。梅雨時期はその中でも特に「湿(しつ)」の影響を大きく受けるとされ、これを「湿邪(しつじゃ)」と呼びます。

湿邪の特徴

  • 重く停滞しやすいため、だるさを引き起こす
  • 体内の「気(エネルギー)」や「水(体液)」の巡りを阻害しむくみなどを引き起こす
  • 胃腸の働きを弱め、消化不良を引き起こす

対策①:胃腸を整える「脾(ひ)」の食養生

東洋医学では、脾(現代で言う消化吸収系)は湿に弱いとされます。
温かい食事、適度な水分、過剰な冷飲食を避けることが大切です。

おすすめの食材:

  • 生姜、シソ、ネギ:体を温め、湿を排出
  • ハトムギ、とうもろこしのヒゲ、豆類:利尿作用があり「湿」を除く
  • 山芋、かぼちゃ:脾を補い消化吸収を助ける

対策②:ツボ療法や鍼灸

  • 足三里(あしさんり): 胃腸の働きを整え、気を補う
  • 陰陵泉(いんりょうせん)豊隆(ほうりゅう): 水分代謝を促進
  • 中脘(ちゅうかん): 胃の働きを助ける

鍼灸によって、内臓の調整や自律神経の安定化も期待できます。


西洋医学的視点

梅雨による「気象病」や「湿度ストレス」への対応

現代医学では、気圧や湿度の変化が自律神経に影響を与えることが明らかになっています。とくに低気圧は自律神経に影響を与え、だるさや頭痛が起きやすくなると言われます。

対策①:生活リズムの安定と適度な運動

  • 規則正しい睡眠・食事時間を保つ
  • 室内でも軽いストレッチやウォーキングを行うことで血流促進

対策②:湿度コントロール

  • 除湿機・エアコンで湿度調整
  • カビやダニの繁殖を抑え、アレルギー対策にも効果的

対策③:メンタルケア

気象変化によるうつ状態や不安感の増加も指摘されています。

  • 朝の光を浴びて、「幸せホルモン」とも呼ばれる神経伝達物質のセロトニン分泌を促す
  • セロトニンの分泌を促すトリプトファンが含まれるヨーグルトを食べる
  • リラックスできる時間を意識的に作る(呼吸法・瞑想など)

最後に

梅雨時期の不調は、「湿気」や「気圧変動」といった環境要因によって引き起こされます。鍼灸でもそうした不調に対応できるので、ぜひ神明鍼灸治療院までご相談ください。

筆者:神明鍼灸治療院

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