「〇〇って鍼灸で治るの?」
時折、こうした質問を受けることがあります。
正直、「はい、必ず治ります」と断言できたら楽なのですが、現実はそう簡単ではありません。
なぜなら、「肩こり」ですら、その原因は非常に多岐にわたるからです。姿勢や筋肉の問題だけでなく、内臓疾患や、まれにレッドフラッグと呼ばれる重篤な病気が隠れているケースもあります。
一方で、国家資格の有無を問わず、明確な根拠がないまま、自身の経験や独自理論だけで「治せます」と言い切る施術者がいるのも事実です。
標準医療で改善せず、不安や不調を抱えてきた患者さんにとって、その言葉が「希望」に感じるかもしれません。実際、人は安心するだけでも免疫機能が高まるという研究もあり、心理的効果を完全に否定することはできません。
ただ、それが本当に健全な医療の形かというと、私は疑問を感じます。
鍼灸で「できること」
鍼灸とは、「はり師」「きゅう師」という二つの国家資格の総称です。この両方を取得して、初めて鍼とお灸を用いた施術が可能になります。
私たち鍼灸師は、この鍼(機械的刺激)と灸(熱刺激)を用いて、患者さんの身体に働きかけます。
ただし、重要なのは「鍼や灸そのものが治す」のではありません。
刺激をきっかけに、
- 血流
- 神経の働き
- 自律神経のバランス
- 炎症反応や回復過程
といった患者さん自身の生理反応・自己治癒力がどう働くかが、治療の本質になります。
つまり、鍼灸でできることは、 患者さん自身が本来持っている回復力を引き出し、働きやすい環境を整えることだと言えます。
鍼灸で「できないこと」
一方で、鍼灸には明確な限界もあります。
鍼灸は、
- 失われた血液を補う
- 骨折を固定する
- 腫瘍を切除する
- 感染症の原因菌を直接除去する
といった、外部から何かを「足す」「取り除く」治療はできません。
そのため、これらが必要な疾患に対して、鍼灸だけで「治療する」ことは不可能です。
ただ、西洋医学的な治療と並行して、
- 痛み
- こわばり
- むくみ
- 不眠をはじめとした自律神経症状
などに対し、症状緩和や回復のサポートとして関わることは可能です。
最後に
医学の世界は、学べば学ぶほど「断言」が難しくなります。
思いもよらない原因が隠れていたり、昨日の常識が今日には覆ることも珍しくありません。
鍼灸が、今の症状を改善する「きっかけ」になるかもしれませんし、ならないかもしれません。
それでも、標準医療を受けているにもかかわらず、
- なかなか改善しない
- 回復をもう一段階高めたい
- 体調全体を整えたい
と感じている方に対して、鍼灸が貢献できる場面は確実に存在すると、私は考えています。
もしご興味があれば、ぜひ神明鍼灸治療院にご相談ください。
また、事前に神明整形外科を受診しておくことで、西洋医学と東洋医学を並行して受けられ、より安心・安全な治療につながると思います。
筆者:神明鍼灸治療院