そもそも「しびれ」とは?
「しびれ」とは多様な内容を包含する主観的な表現であり、どんな内容を指すかは患者や疾患・状況によって異なる。一般的には、正座の後に生じるような「ジンジンする」「ビリビリする」「チクチクする」と表現される自覚的感覚を指す。
(神経症状の診かた・考えかた 第3版より引用)
つまり、「しびれ」とはあなた自身が「しびれ」と自覚している感覚を指します。そのため、自分で感じている「しびれ」と、他人が言う「しびれ」は、実際には全く異なる状態であったり、原因も大きく異なっている可能性があります。
メカニズムとしては、「しびれ」は神経の働きが何らかの要因によって低下し、感覚情報が脳へ適切に伝達されなくなっている状態と考えられます。神経の働きが低下する理由としては、各種疾患や物理的な損傷のほか、血行障害、炎症、薬物の影響など様々な可能性が挙げられます。
鍼灸はしびれに効くのか?
結論から言うと、すべてのしびれに鍼灸が有効というわけではありません。
- 神経が完全に切断されてしまった状態
- 長期間にわたり感覚が完全に消失している場合 (感覚脱失)
このようなケースでは、鍼灸による回復効果は基本的に期待できません。
一方で、
- 感覚が鈍い
- 逆に痛みを過敏に感じる
- 「ビリビリする」「ジンジンする」「チクチクする」
- 触った感じが左右で違う
といった感覚の低下(感覚鈍麻)や、通常とは異なるような感覚 (異常感覚、錯感覚、感覚過敏、異痛症)が中心のしびれに対しては、鍼灸が有効である可能性があります。
鍼灸が期待できるメカニズム
鍼やお灸による機械的刺激・温熱刺激を継続的に加えることで、
- 神経内・神経周囲の血流改善
- 神経周囲のむくみ(浮腫)の軽減
- 神経の栄養環境の改善
が起こりやすくなると考えられています。
その結果、
- 低下していた感覚の回復
- 「ビリビリ」「ジンジン」とした不快なしびれ感の軽減
といった変化を期待することができます。
まとめ
しびれの原因や状態によって、鍼灸の適応・非適応は大きく異なります。
重要なのは、「しびれ=すべて同じ症状」ではなく、神経のどの段階に問題があるのかを見極めたうえで治療を行うことです。したがって、しびれを感じたらまずはお近くの整形外科など、整骨院や鍼灸院などではなく医療機関を受診することをお勧めいたします。
鍼灸は、神経の回復を促す環境づくりを得意とする治療法であり、適切なケースでは十分に価値のある選択肢といえるでしょう。医療機関と並行して治療を受けるのもお勧めです。
また、セルフケアとしてのお灸もおすすめです。特に冷えやすい時期には、血液循環の改善が期待できます。
筆者:神明鍼灸治療院