東洋医学で考える肩こり

春になると気温が上がり、自然界のエネルギーも上昇していきます。東洋医学では、この時期に「厥陰(けついん)」の経絡が影響を受けやすいと考えられています。厥陰経は、肝経(かんけい)心包経(しんぽうけい)に関連し、気血の巡りや情緒の安定に関係する経絡です。

春は肝の季節とも言われ、肝の気が上りやすくなります。肝の気がスムーズに流れていれば問題ありませんが、ストレスや環境の変化で気が滞ると、肩こりや首の張りとして現れます。特に「気滞(きたい)」と呼ばれる状態では、肩や首の筋肉が硬くなり、血流も悪くなるため、こりや痛みを感じやすくなります。

また、厥陰系のバランスが崩れると、自律神経にも影響を及ぼし、肩こりだけでなく、めまい頭痛イライラなどの症状が出ることもあります。そのため、春の肩こり対策としては、気の巡りを良くすることが大切です。

具体的には、軽いストレッチや深呼吸を行い、体を動かして気の流れを整えるのが効果的です。また、肝の働きを助ける「酸味」の食べ物(柑橘類、梅干しなど)を適度に摂るのもよいでしょう。さらに、足の「太衝(たいしょう)」や手の「内関(ないかん)」といったツボを押すことで、厥陰系の流れを調整し、肩こりの緩和につながります。

春は気が上りやすい季節だからこそ、肩の力を抜き、リラックスを意識することが重要です。自然の流れに逆らわず、ゆったりとした気持ちで過ごすことで、肩こりを和らげ、健やかな春を迎えましょう。

筆者:佐久間 渓矢

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