鍼灸(しんきゅう)は、鍼(はり)と灸(きゅう)を使って体の調子を整える治療法です。日本や中国をはじめ、世界中で実践されており、近年では西洋医学(現代医学)の視点からもその効果が研究されています。
では、鍼灸はどのように体に働きかけるのでしょうか?現代医学と東洋医学、それぞれの視点から見ていきましょう。
現代医学的な視点から見た鍼灸
現代医学では、鍼灸の効果は 神経系・筋肉・血流の改善 によるものと考えられています。
① 神経の調整
鍼を刺すと、皮膚や筋肉のセンサー(受容器)が刺激され、脳や脊髄の神経回路が活性化します。これにより、痛みを抑えるエンドルフィンの分泌 が促されたり、自律神経が調整 されたりする効果が期待できます。
② 筋肉の緊張を緩める
筋肉の深い部分にある「ゴルジ腱器官」が刺激されることで、1b抑制 が起こり、過剰な筋肉の緊張が和らぎます。特に慢性的な肩こりや腰痛に有効です。
③ 血流の改善
鍼や灸の刺激により、局所の毛細血管が拡張し、血流が改善 されます。これにより、酸素や栄養が体の隅々まで行き渡り、疲労回復や冷えの改善 につながります。
東洋医学的な視点から見た鍼灸
東洋医学では、鍼灸は 気(き)・血(けつ)の流れを整える治療 だと考えます。
① 経絡(けいらく)とツボの概念
体には 経絡 というエネルギーの通り道があり、そこに 経穴(ツボ) が存在します。鍼や灸でツボを刺激すると、滞っていた 気や血の流れ が整い、自然治癒力が高まるとされています。
② 五臓六腑のバランスを整える
東洋医学では、体の不調は 内臓の機能バランスの乱れ から生じると考えます。例えば、腰痛は「腎」の機能低下と関連が深いとされ、腎の働きを高めるツボを刺激することで症状の改善を目指します。
③ 体質や環境に合わせた施術
東洋医学では、個人の体質や季節の影響を考慮 しながら治療を行います。同じ症状でも、人によって治療方法が異なるのが特徴です。
現代医学と東洋医学の共通点
最近の研究では、東洋医学の「経絡」と、現代医学の「筋膜(ファシア)」の流れが一致する部分が多いことが分かっています。
また、鍼の刺激で生じる フレア反応(赤み) は、血流改善のサインとして東洋医学・現代医学の両方の視点で説明できます。さらに、1b抑制を通じた筋緊張の調整は、経絡を整える東洋医学の考え方とも一致します。
加えて、現代医学では 血流の悪化 が原因で、 ブラジキニンやプロスタグランジン などの発痛物質が貯留したり、栄養が筋肉に届かず筋肉が弱くなることが知られています。この状態が続くと、痛みやコリが慢性化します。鍼灸の刺激によって血流が改善されることで、これらの発痛物質が排除され、筋肉に栄養が行き渡るため、痛みが緩和 されることが期待されます。この効果は、東洋医学の治療原則である「不通則痛、不栄則痛」にぴったり合致します。つまり、血の流れが滞ることで痛みが生じ、流れが良くなることで痛みが解消されるという考え方です。
このように、鍼灸は 現代医学と東洋医学の両面から見ても効果が期待できる治療法 なのです。
ぜひ一度、鍼灸を体験してみてください!
「なんとなく調子が悪い」「慢性的なコリや痛みがある」そんな方にこそ、鍼灸はおすすめです。現代医学と東洋医学の両方の視点を活かした施術で、あなたの体のバランスを整えてみませんか?
気になった方は、ぜひ一度神明鍼灸治療院までお越しください。
筆者:佐久間 渓矢