東洋医学と現代医学の両面で考える腰痛

腰痛は、多くの人が経験する身近な症状です。デスクワーク運動不足加齢など原因はさまざまですが、治療法もまた東洋医学と現代医学で考え方が異なる一方で、共通点もあります。それぞれの視点から腰痛を見てみましょう。

現代医学から見た腰痛

現代医学では、腰痛は筋肉や骨、神経の問題としてとらえられます。代表的な原因としては、筋肉疲労、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などがあります。

治療法としては、痛み止めの服用や湿布、リハビリ、ストレッチ、必要に応じて手術が選択されます。画像診断(レントゲンやMRI)を使って、痛みの原因を特定し、対処するのが特徴です。

東洋医学から見た腰痛

東洋医学では、腰痛は「気(き)」「血(けつ)」の流れが滞ることで起こると考えます。特に、腎の働きが弱ると腰が重だるくなるとも言われています。

また、「経脈(けいみゃく)」「経筋病(けいきんびょう)」という考え方を用いることもあります。経脈は気血が流れる道であり、経筋病は筋肉や腱のつながりに関連する疾患を指します。これらは、筋膜(ファシア)と深く関係していると考えられています。

現代医学と東洋医学の共通視点

最近の研究では、東洋医学の経脈の流れが、現代医学でいう「ファシア(筋膜)」の走行と一致していることがわかってきました。ファシアは、筋肉や臓器を包み込み、全身のつながりを作る組織であり、痛みの伝達や調整にも関わります。

例えば、鍼や手技による刺激を加えると、皮膚の微小循環が変化し、赤みを帯びる「フレア反応」が起こることがあります。これは、神経と血管のネットワークが活性化され、局所の血流が改善されるサインです。

また、筋紡錘やゴルジ腱器官を介した「1b抑制」という神経メカニズムも関係しています。鍼や指圧による適度な刺激は、ゴルジ腱器官を活性化させ、過剰な筋緊張を抑制する働きを持ちます。この仕組みは、現代医学と東洋医学の両方の視点からも理にかなっており、腰痛の緩和に役立つと考えられています。

どちらの視点も大切

現代医学は、骨や筋肉の構造的な問題を特定し、的確な対処をするのが得意です。一方、東洋医学は、体全体のバランスを見て、自然治癒力を高める方法をとります。

どちらか一方に偏るのではなく、両方の良いところを取り入れることで、より効果的な腰痛対策ができます。気になった方は、ぜひ一度神明鍼灸治療院までお越しください。

筆者:佐久間 渓矢

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