最近、「気象病外来」や「天気病外来」という言葉を耳にすることが増えてきました。気圧の変化や天気の移り変わりに体調が左右されるという悩みを抱える人が増え、それに対応する医療の場が少しずつ整ってきています。
実はこうした気象と体調の関係についての考え方は、東洋医学の世界でははるか昔から深く考察されてきたテーマでもあります。
東洋医学では、病の原因は大きく「外因」「内因」「不内外因(どちらでもない)」の三つに分けて考えます。気象病はその中でも「外因」に分類され、主に気候や自然環境の変化によって起こるものとされています。
外因はさらに「風(ふう)」「暑(しょ)」「湿(しつ)」「燥(そう)」「寒(かん)」「火(か)」という六つの性質に分けられ、これらを「六淫(りくいん)」と呼びます。それぞれの要素が、私たちの体にさまざまな不調を引き起こすと考えられているのです。
たとえば、「風」はめまいやふらつき、「湿」は体の重だるさやむくみ、「寒」は冷えや痛みなど、自然界の変化がそのまま身体症状として現れることがあるのです。
現代では「気象病」という名前が少しずつ知られるようになってきたとはいえ、「気圧が下がると頭が痛くなる」などと人に話しても、なかなか理解してもらえないことがあるのが現実です。
しかし、東洋医学では自然界と身体は常に呼応しているという「天人合一」(てんじんごういつ)という考え方が根本にあります。長い年月をかけて積み重ねられてきた経験医学の中で、気象と体調のつながりはごく自然なものとして捉えられてきたのです。
たとえば、月の引力で海の潮が満ち引きをするように、私たちの体内の水分も、外界の変化に影響されていると考えるのは、ごく自然なことかもしれません。
「天気が崩れる前に、なんとなく体調が悪くなる」「雨の日に古傷がうずく」といった感覚がある方は、決して気のせいではない可能性があります。
もし気象とご自身の体調との間に、なにかしらの関連性を感じるようであれば、一度、鍼灸を試してみてはいかがでしょうか?
東洋医学の知恵をベースにした鍼灸は、気象の変化に負けない体をつくるための一つの選択肢になるかもしれません。興味あるの方は、自然に寄り添う治療のかたちを、神明鍼灸治療院でぜひ体感してみてください。
筆者:神明鍼灸治療院